【バンドリ！】「さきりーん！お待たせ〜？」

「アノリス！ふふっ、今来たところですわ」
佇んでいたさきりんの少し赤くなった耳が寒そうで、手袋を外してさきりんの顔を挟む。ひんやりとした感触が心地よかった。
「うそ〜。すっごく冷たくなってるじゃん！」
「や、やめてくださいまし」
照れたように身じろぐのが可愛い。さあ今日もデートだ。たわいのない話を重ねながら思う。可愛い。楽しい。でも、何もかもをほったらかしにして私は何をしてるんだろうな……
ふと、さきりんが何もない地面を見つめていることに気がついた。ああ…
「ともりんが好きそう石（コ）だ」
「……他の女の子の名前を出すのはマナー違反ではなくて？」
「さきりんが未練がましいのが悪くない〜？」
「ことあるごとに燈の名前で試し行動を取るほうが悪いでしょう。この臆病者」
なんて言い争いをする私たちの声色は柔らかだ。これは自傷で、確認の儀式。似た者同士だって安心している。
トゥルーエンドが怖くて逃げ出した私たちは、心の底では王子様が忘れられず、きっと迎えに来てくれると祈っている。
でも、このまま二人でエンディングを迎えてしまったらどうしようかな。

じっとりしたあのさきも素晴らしいですわね